タクシーに乗る奴なんて馬鹿ばっかりだからすごく苦労した話

昔10年位前に、東京でタクシー運転手として働いていたころの話をしようと思う。

 

みんなタクシー運転手に対してめちゃくちゃ厳しい。何でも知っていて当たり前だと思っている。

 

本当にどこまで知ってれば満足なの?宇宙が誕生してどんな経緯でこの惑星が誕生したか知ってれば満足か?

 

ってのは冗談だけど、実際にタクシー運転手になって感じたことを語ろうと思う。

 

 

 

タクシー運転手が知っていて当たり前のこと

安月給でこれほど幅広い知識が要求される職も珍しいよね。

 

1.営業区域の全ての住所を知っていて当たり前だと思っている。どの方向の道から来れば道路を渡らずに、その住所にたどり着けるか知っていなければいけない。

 

へぇ~、じゃあお前の住んでる場所の近所の住所全部答えてみろよ。何丁目までで良いよ、優しいな俺。

 

 

2.他県の住所も知っていて当たり前だと思っている。まずお前らが自分の住所を正しく言えるようになろうな。

 

これに関しては、エピソードがあるので下に書く。

 

 

3.近道。これも全ての一方通行を知っていて当たり前。

 

ちょっとでも信号のある道を使うと怒る。そのくせ自分は道を知らない。文句があるなら指示しろ。

 

 

4.地下鉄の駅。地下鉄って見えないから駅の場所が難しい。

 

 

5.橋の名前・交差点名・ホテル名・病院名・通り名・通りの番号(国道246号とか)。いろんなものに名前がある。ありすぎる。

 

大きい病院とかならまだ良いんだけど、小さい病院まで知るかよ!東京だと住宅街の狭い場所に突如病院とかあったりするし、さすがに全部は知らん。

 

 

6.取り壊された建物。悪い、お前みたいな年寄りじゃないから、昔立っていた建物なんて知らないんだよ。

 

 

7.行き先までの所要時間。電車とかバスなら所要時間決まってるから答えられるだろうけど、毎回出発場所と到着場所が違うタクシーに所要時間聞くか?すげーよな。マジで何考えてるんだ?あ、何も考えてないよな。わりぃわりぃ。

 

「ナビ使えばいいじゃん!」って考えたやつは馬鹿な。話にならん。

 

所要時間聞いてくる奴は大体急いでんだ。ナビなんて使ってる暇あるわけねーだろ。

 

主要空港までなら所要時間分かんだろ?って思うか?空港にタクシーで行く奴なんて2年やってて3度くらいしかいなかったよ。

 

新大久保から羽田空港まで行こうとした朝鮮人なんて、真顔で「800円?」とかいう始末だし。舐めてるとしか言いようがない。

 

渋谷から六本木一丁目駅まで5分で行けるか聞いてきた、焦った顔のご婦人もいたな。何に焦ってたんだろうな。この世の終わりにか?渋谷に大型の隕石が落ちてくるから早く逃げなきゃってか?

 

俺には 関係ないかもしれないけど余裕無さ過ぎだろ。

 

病院で夫が生死の境を…とかなら、まぁ納得か。それなら病院まで!って言わないか?事情話してくれれば、お金は後でも構わないんだぜ?俺優しいからさ。

 

 

8.工事。なんで工事してんだよ!俺が知るか。

 

 

9.渋滞。工事の渋滞、時間帯による渋滞、交通事故での渋滞。予測できない渋滞なんていくらでもある。

 

 

10.首都高の出入口。首都高たまにしか乗らないから知らない。ごめんね。

 

 

11.飲み屋の場所・コリアタウンコリアタウンって新大久保以外にもあるんだな、初めて知った。

 

 

12.ラブホ街。男女で乗ってきて、「近くのラブホまで!」羨ましいなぁ~と思いながら、歌舞伎町のラブホ街に行きまくったな。

 

 

13.安くて可愛い娘がいる風俗店。

 

出張で地方から来たサラリーマン「運転手さんはどこの風俗利用するんですか?勿体ぶらずに教えてくださいよぉ~!」風俗行かねーよ!金ねーよ(笑)

 

私「無料案内所があるから、そちらでお聞きください。」とか言ったな。

 

 

14.東京のお土産。千葉出身の私に東京のお土産聞いちゃう?東京バナナって言っておいた!

 

 

記憶に残ってる馬鹿な客エピソード

印象が特に強かった客について書こうと思う。

 

歌舞伎町から乗ってきた「自分たちの住所もまともに言えないバカップル」

バカップル「神奈川県緑区までお願いします!」

 

私「神奈川県緑区ですね。ナビを設定しますので、少々お待ちください。」

 

私「(おかしいな。神奈川県緑区ってナビに入れても、検索0件になる。なんでだ?)」

 

私「お客様。失礼ですが、住所をもう1度お願いします。」

 

カノピ「神奈川県緑区の〇丁目〇番地のマンションです。」

 

彼ピ「カノピ、この住所で間違いないよね。」

 

カノピ「うん。間違いないよ!」

 

私「すみません。ナビの性能が悪いもので、住所が出ませんね。」

 

彼ピ「あ、でも、他にタクシー拾えないし、終電も無いようなので、とりあえず神奈川県に向かってもらえますか?」

 

私「畏まりました。」

 

赤信号になり、スマホで懸命に住所を探す私。そしてなぜ住所がナビの検索に出ないかを知る。

 

もうね。呆れるよね。はい、馬鹿乙。

 

検索内容「神奈川県緑区

 

検索結果「神奈川県横浜市緑区

 

市か、東京に住んでる場合。東京都〇〇区〇〇だから市が入ることに気付かなかった。

 

横浜市なんてこの女一言も言わなかったぞ?言わなくても分かると思ったのか?

 

こいつ引っ越してきたばかりなのか?いやいや、自分が何市に住んでるか分からない奴なんているか?

 

それとも少々間違っていても、問題なく分かるだろ?って思ってるのか?

 

え?知らないの?なんでタクシー運転手やってるの?って思ってるのかもな?

 

自分の帰りたい家の住所くらい間違えずに言え。

 

俺が昔住んでた住所。神奈川県相模原市南区御園の相模原市を省くようなもんか。

 

神奈川県南区御園までって、。他県のタクシー運転手に伝えるようなもんか、すげー低能だな。低能先生も真っ青だよな。

 

新宿から拝島の病院までの「行き先言わない女」

この女を乗せたのは、朝5時半だった。新宿駅方面だったため「お、新宿駅かなぁ~よしよし。1000円ゲット!」

 

と思ったが、行き先は全く別の場所だった。

 

私「行き先はどちらでしょうか?」

 

女性客「首都高に乗って中央道方面にお願いします!急いでるの早くして!」

 

私「はい、畏まりました!」

 

高速入り口前に信号機があるんだけど、赤信号で停車中にちょっとそわそわ。実は仕事の終了時刻が2時間半後に迫っていたので、「これ行き先どこだろうな。」という気がかりがあった。

 

高速の入口のETCで少し減速するよね。そのときに「お客様、行き先はどちらでしょうか?」

 

まぁ聞くよね。気になるし、時間大丈夫かなってさ。

 

女性客「・・・。」

 

私「(え?なんで答えないの?)」

 

私「(もう1度聞くか。)」

 

私「あの、お客様!行き先はどちらでしょうか?」

 

少し強い口調で聞いた。

 

女性客「まっすぐお願いします。降りる場所は後で言います。」

 

私「(いや、そーじゃねーよ。行き先だよ!おいおいおい。マジかよ、時間大丈夫かな。)」

 

そわそわしながら走る。

 

何回聞けば答えるんだよ?

 

私「お客様、行き先はどこらでしょうか?」

 

女性客「国立府中で降りてください。その後、256を拝島方面にお願いします。」

 

私「はい、畏まりました。」

 

女性は誰かに電話、女性は看護師らしい。どこかの病院で緊急手術が行われるらしく、招集されているようだ。

 

どこの病院か言えよ!そう思いながら走る。

 

ここまで頑なに行き先を言わないのだから、最後まで指示するものだとばかり思っていたが、違った(笑)

 

拝島駅を越える橋を渡った辺りの東京環状を走っていると、突如女性が口を開く。

 

女性客「東京西徳洲会病院までお願いします!」

 

私「はい、どちらでしょうか?」

 

女性客「え?知らないの?」

 

私「はい、知りません。ナビに入れるので少々お待ちください。」

 

女性客「大丈夫?何で知らないの?急いでるの!早くして!」

 

私「ここに来るまでに何度もお伺いしたのですが、なぜ教えてくれなかったんですか?」

 

さすがに腹が立ち、かなり強い口調で言ってやった。

 

女性客「・・・・。」

 

私「では向かいますね♡」

 

無事病院に到着。

 

女性客「なんでこんなに遠回りしなきゃいけないのよ!」

 

私「なぜでしょうね。〇円になります。ありがとうございました。」

 

はぁ~・・・はぁ~。こんな女に手術の助手してほしくないな。患者さん大丈夫かな。